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駅に着くまで

私には幼い頃(浅草のおじさん)と呼んでいる人がいた。その人は浅草で毎日イミテーションの指輪を露店で売っていた。電車に乗ると、微かなんだけどその当時の記憶が蘇るのね。確か半年に一回、二ヶ月間ぐらいは祖母とその人の家に泊まりに行ってたはずなの。東京に向かう電車に乗るのは、遠足みたいでわくわくした。足をバタバタさせたり、車窓からの景色見てたり、お弁当食べたりさ



そうそう、その(浅草のおじさん)は父方の祖母とおそらく交際していた。祖母は早くに旦那さんを亡くしていた。お互いフリーで清い交際だったのかもしれない。もし交際時期かぶってたらやだな。実のおばあちゃんに聞ける内容ではないし、どっちも死んじゃったからもう聞けないけど。 その人に会うときは祖母は普段しない化粧と日傘をさして。彼女の勝負服だったのだろう。白地で紫の花が咲いてるワンピースをよく着てた。うちの父親に籍を入れたいってお願いしてたみたいなんだけど、名字が変わるし、歳が歳だから、許されなかったみたい。いいじゃんね?籍ぐらい。名字ぐらい。死ぬ前の婆の願望ぐらい叶えてやれよと思うんだけど。だからかな。多分、私は祖母とその人の夫婦ごっこに連れてかれてたんじゃないのかと。二人のこども役として



旅館で仲居をやっていたときにお客さんとして知り合ったみたいなんだ。浅草のおじさんの家は狭かったけど、本が壁一面びっしりだったのは覚えてる。古ぼけた地球儀もあった。おじさんと自転車二人乗りするの楽しかったな。浅草花やしき、競馬もなんだかわからずについていった思い出


そろそろ駅に着きます。また

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